定義

集合R(実数全体の集合)またはC(複素数全体の集合)の元を縦にm個, 横にn個

\[
A =
\begin{pmatrix}
a_{11}   &  a_{12}  & \ldots  & a_{1n}   \\
a_{21}   &  a_{22}  & \ldots  & a_{2n}   \\
\vdots   &  \vdots & \ddots & \vdots   \\
a_{m1} & a_{m2} & \ldots & a_{mn}
\end{pmatrix}
\]

と並べたものを\(m\)行\(n\)列の行列\((m, n)\)型行列\(m \times n\)行列という。

このとき、\((m, n)\)を行列Aのサイズという。

特に\(m=n\)のとき、Aはn次正方行列であるという。

まぁ、簡単に言うと、行列とは数字を縦と横に沢山並べたものです!!

例えば…

\[
\begin{pmatrix}
2 & 1 & 7 \\
5 & 3 & 2 \\
0 & 0 & 1
\end{pmatrix}
\]

は、\(2\)行\(3\)列の行列、\((2, 3)\)型行列、\(2 \times 3\)行列。

\[
\begin{pmatrix}
1 & 2 \\
5 & 3
\end{pmatrix}
\]

は、\(2\)行\(2\)列の行列、\((2, 2)\)型行列、\(2 \times 2\)行列、\(2\)次正方行列です。

行列の各部分の名称

\( (m, n) \)行列

\[
A =
\begin{pmatrix}
a_{11}   &  \ldots  &  a_{1j}    &  \ldots    &  a_{1n}    \\
\vdots   &  \ddots &  \vdots  &  \ddots    &  \vdots     \\
a_{i1}     &  \ldots  &  a_{ij}     &   \ldots   &  a_{in}      \\
\vdots   &  \ddots &  \vdots  &  \ddots   &  \vdots     \\
a_{m1}   &  \ldots  &  a_{mj}   &  \ldots    &  a_{mn}
\end{pmatrix}
\]

において

\[
a_{i1} a_{i2} \ldots a_{in}
\]

を行列Aの第\( i \)行といい、

\[
a_{1j}  \\
a_{2j}  \\
\vdots \\
a_{mj}
\]

を行列Aの第\(j\)列という。

\(a_{ij}\)を行列Aの第\( (i, j) \)成分という。

つまり、横を、縦を、各数字を成分といいます。

例えば…

\[
A=
\begin{pmatrix}
2 & 1 & 7 \\
5 & 3 & 2 \\
0 & 0 & 1
\end{pmatrix}
\]

において、

\[
5 \ 3 \ 2
\]

を行列Aの第\( 2 \)行

\[
7  \\
2  \\
1
\]

を行列Aの第\(3\)列。

\(5\)を行列Aの第\((2, 1)\)成分といいます。

行列の中のベクトル

\( (m, 1) \)型行列を\( m \)項列ベクトルまたは縦ベクトルという。

\[
\vec{a}=
\begin{pmatrix}
a_{1}    \\
a_{2}    \\
\vdots  \\
a_{m}
\end{pmatrix}
\]

また、\( (1, n) \)型行列を\( n \)項行ベクトルまたは横ベクトルという。

\[
\vec{a}=
\begin{pmatrix}
a_{1} \ a_{2} \ \ldots \  a_{n}
\end{pmatrix}
\]

例えば、

\[
\begin{pmatrix}
1 \\
3 \\
1 \\
\end{pmatrix}
\]

は\(3\)項列ベクトル。

\[
\begin{pmatrix}
2 \ 5 \ 8 \ 2 \ 1
\end{pmatrix}
\]

は\(5\)項行ベクトルといいます。

「えっ、急にベクトルって出てきたけど?」って思っている人もいるかもしれません。

実は、見方によっては「ベクトルは行列の一部である」ということもできます。

つまり、「行列を考えればベクトルが分かる」とも考えられます。

ちょっと補足

ベクトルについて少し知っている方はお気づきかもしれませんが、実は行列はベクトルを並べたものとも見ることができます!!

例えば…

\[
A=
\begin{pmatrix}
2 & 1 & 7 \\
5 & 3 & 2 \\
0 & 0 & 1
\end{pmatrix}
\]

\[
A=
\begin{pmatrix}
\begin{pmatrix}
2 \\
5 \\
0 \\
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
1 \\
3 \\
0 \\
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
7 \\
2 \\
1 \\
\end{pmatrix}
\end{pmatrix}
\]

と見ることができます!!

この発想は「一次変換」というお話をする際に非常に役に立ちます。

知ってると知ってないで世界観がガラッと変わります!!

詳しい話は「一次変換」を解説する際にまたご紹介しようと思うので、楽しみにしててください!!

 

頑張って覚えようね!!

ここで説明されている用語は、行列の話をする上で必要最低限知っておくべきものです。

野球で言うなら、「ピッチャー」や「キャッチャー」といった野球の話をする上で前提となるものです。

きちんと覚えるようにしましょう!

行列の具体例

これまで行列の定義について話してきましたが、「数字がたくさん出てきてよく分からない!」と思っている方もいると思います。

そこで、行列を身近に感じてもらうために少し具体例を示したいと思います。

例1

Aさん、Bさん、Cさん、Dさんの4人がいます。

それぞれ12才、15才、20才、8才でした。

このことを行列で表現すると…

\[
\begin{pmatrix}
\text{Aの年齢} & \text{Bの年齢} \\
\text{Cの年齢} & \text{Dの年齢} \\
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
12 & 15 \\
20 & 8 \\
\end{pmatrix}
\]

となります。

※2行にした意味は特にありません。

\[
\begin{pmatrix}
\text{Aの年齢} & \text{Bの年齢} &
\text{Cの年齢} & \text{Dの年齢}
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
12 & 15 &
20 & 8
\end{pmatrix}
\]

としてもいいですよ!

例2

先ほどのAさんですが、身長:140cm、体重:40kg、握力:38ということが分かりました。

これを行列で表現すると…

\[
\begin{pmatrix}
\text{年齢} & \text{身長} \\
\text{体重} & \text{握力} \\
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
12 & 140 \\
40 & 38 \\
\end{pmatrix}
\]

となります。

つまり…

つまり、行列とは「あるカテゴリーの数を並べたもの」ととらえられます。

例1では「年齢」、例2では「Aさんの情報」といった感じです。

そう考えると行列ってそんなに難しそうじゃないでしょ?(笑)

※この考えからすると、連立方程式のときに出てきた行列は、「係数」というカテゴリーによって分類された数たちを並べた行列と考えることが出来ます。